新聞広告

本当に存在していた新聞三行広告の深い世界

本当に存在していた新聞三行広告の深い世界

あなたの知らない三行広告の世界

新聞の見出しのある面の反対側、ラジオ・テレビ欄は別名「ラテ欄」と言います。そしてまたの名を「終面」とも言います。この裏には、皆さんお楽しみ?の4コマ漫画や、1面の見出しニュースをさらに掘り下げた情報などが載ることが多いですね。

そして、面の中段から先、全3段広告の上(または中)辺りに、文字だけのいわゆる「三行広告」があります。内容は、ご覧になった方も多いと思われる人探しや、物品や会社の売買、製品のリコールや謝罪広告など、多岐に渡ります。中でも人探しは、まだスマホや携帯電話の普及していなかった時代、有効なコンタクト方法でした。

 
 

天下の公器としての新聞

通常、全国紙の新聞に、その上朝刊に広告を出したいと思ったら、部数や新聞社によって違いますが、だいたい1回で100万円以上かかります。ところが、人探し広告は1回8,000円から1万円くらいで掲載できました。これは当時、高い購読数を誇っていた新聞各紙が「天下の公器」として、社会貢献的に特別な価格を定めたことによるものです。今となっては信じられませんが、社会情勢や家族の形態変化で、家出をして、携帯電話も存在せず、本当に「音信不通」になってしまった人に、すがるような思いで掲載依頼を出し、それによる反響で、実際に出会うことのできた人々がたくさんいたのです。

 
 

この「三行広告」ですが、正確には「3行×1段分のスペースを持った広告」という意味で、3行でなくてはならない決まりはありません(紙面の体裁上3行というルールを設けている場合もあります。)1段の文字数はだいたい15字ですので、最終行は電話番号と社名・名前のために使い、前半2行をどうレイアウトするかが腕の見せどころでした。

 
 

インターネットが流行り始めた頃は、まだまだこの三行広告が隆盛を誇っていて、夕刊紙などは、1ページまるまる3行広告の企画ページまで存在しました。載っているのは、行政書士や古物商、結婚相談所など、万人が欲するものではないけれど、需要は確かに存在する、いわゆる「ニッチ」な業態が多いのも三行広告の特徴でした。そういえば、求人の三行広告にアイドルを応募させて、実際に面接に行くテレビ番組もありましたね。

 
 

時代とマッチしていた風俗業の三行広告

驚きなのは、風俗業の三行広告です。2000年代直前の夕刊紙では、なんと、最大で8面ものページが風俗業の三行広告で占められていました。もちろん、インターネットが広く普及する前の時代です。当時は、ネットは一般的でなかったものの、携帯電話は既に普及していましたので、お店も、お客も、電話番号でどこからでも風俗店に問い合わせることができました。これが、携帯性抜群のタブロイド型の夕刊紙とピッタリマッチした時代だったんです。

 
 

時代と共に新聞も広告も変わっていく

いまでは、このような広告は見る影もなく、消費行動の統計を見ても、「風俗業・パチンコ業」は衰退の一途を辿っています。来年に控えたオリンピックも、警察の目が厳しくなるキッカケとなり、マイナス要因としかなりません。

 
 

時代がどんどん高齢化に向かう中、一人暮らし高齢者の安全確認や、ニュースの信頼性、広告の話題性など、新聞は見直されている面もあります。今でももちろん、人探しの広告も載っています。現在、新聞配達ワークをしている方も、たくさんの新聞ファンがあなたが届けてくれる新聞を待ってることを留めておくと、お仕事のモチベーションにつながると思います。